異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

39. 王都

 草原を抜け、王都の端っこの街へ着いたのは夜だった。

『俺達が生きて帰れたのはミサキのお陰』
『そうそう! そろそろ結婚しよ』
『ズルいぞガイル! 俺だってミサキと結婚したい』
『いっそみんなで住むか!』
 アリだなと笑う騎士達。

 宿の食堂でミサキのノートを広げると、ジョンが絵を描き始めた。
 家のような絵の前に棒人間が7人。
 一人だけ髪が長いので女の子だろう。

「ガイル、ユーイ、クレイグ、リッキー、マリウス、ジョン……ミサキ」
 指差しながら名前を言うジョン。

「……ミサキ?」
 女の子の棒人間をミサキが指差すと、ジョンもガイルも、周りにいたみんなも頷いた。

 一緒に住もうよってこと?

『いいの? 止めないと彼らと一緒に住むって答えちゃうよ』
 笑いながらルイスを急かすディー。
 
 横からルイスは割り込み、サラサラと絵を描いた。
 似たような家と棒人間なのに、ルイスの方がジョンより上手い。

「ルイス、ミサキ」
 家には2人の棒人間だけ。

 驚いたミサキが顔を上げ、ルイスを見る。
 ルイスとミサキは何も言わずに見つめ合った。
< 112 / 131 >

この作品をシェア

pagetop