異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

05. トキメキ

『今日はレオナルド様とお茶会です』
 ナタリーが準備した綺麗なドレスとハイヒールを見せられたミサキは驚いた。

「レオナルド? 今日?」
 聞き取れたのはこの単語だけ。
 肝心な部分がわからなかった。

 こんな結婚式みたいな綺麗なドレスを着て良いのだろうか?
 繊細なレース、肌触りの良い布。
 ドレスは重いのだと初めて知った。

「きれいです」
「ありがとう、ナタリー」
 ナタリーの技術がスゴいんです! と言いたいが単語がわからない。
 ありがとうと言うのが精一杯だった。
 いつかちゃんと言えるようになりたい。

『では参りましょう』
 騎士が扉を持って待機しているけれど、亀のように遅くてごめんなさい!
 
 ドレスって歩きにくい!
 履き慣れないヒールも不安だが、足元が全く見えない。
 歩くたびにドレスのスカートが揺れ、ふらついてしまう。

 令嬢達を尊敬します!
 こんな重いドレスを着て、どうやって普通に歩くの?

「ミサキ様」
 ナタリーがミサキの背中をスッと伸ばす。

『視線は遠くに』
 扉を見て。のような仕草にミサキは従う。

 あれ?
 背中を伸ばしたおかげかドレスがあまり揺れなくなった。
 スゴい、ナタリー!

 なんとか廊下を進み、いつも食事をしている部屋へ。
 食事のテーブルは部屋の片隅に寄せられており、ミサキはソファーに案内された。
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