異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

44. 兄弟

 ……どうしてここに?
 連れて来られたのは王宮でお世話になっている時に使っていた部屋。
 あれ?
 ルイスを選んだら、あの家に戻れるわけではなかったのか。

 なぜかあの家に置いていた服やシルバーウルフのぬいぐるみまでこの部屋に届いている。
 おかしいな。
 思っていたのと違う。
 ルイスに部屋まで送られたミサキは首を傾げた。
 
「どうした?」
「これ、ここ?」
 シルバーウルフを持ち、なんでここにあるのか尋ねるミサキ。

「ナタリー」
 ナタリーが運んだと言うルイスにミサキは首を傾げた。

「ルイス、いない? ここ?」
 一緒と言ったのにどういう事だろうか?
 また言葉が通じないから勘違いしているのだろうか?

『あっ! ルイ。ミサキは別邸に帰ると思っていたんじゃないか?』
 ルイスが王子だと知らないのではないかと気づいたディーの言葉にルイスは目を見開いた。

 そういえば教えたことはない。

『俺の部屋に行こう』
 ルイスはミサキを部屋へ入れた。

 ミサキの部屋より広く落ち着いた緑色の壁紙の部屋。
 本棚にはたくさんの本。
 クローゼットにはキラキラ王子服。

「ここ、ルイス」
 ルイスの部屋?
 え?
 どういうこと?

 ルイスはミサキを連れて隣の部屋をノックする。
 開いた扉から出てきたのは補佐官チャールズだ。

「ルイ? ミサキ?」
 どうした? と首を傾げながらソファーから立ち上がるレオナルド。

『兄弟って教えていなかった』
『は?』
『兄は単語を知らないな、どう説明すれば良い?』
 困ったルイスが尋ねるとレオナルドは笑った。
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