異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
 芝生は綺麗に長さが揃っていて、噴水には虹がかかっている。
 太陽の眩しさにミサキは目を細めた。

「ナタリー! これ、何?」
 ミサキが木の下で指差したのは木から落ちた硬い実。
 ニックが硬い殻を踏むとパカッと割れ、中から緑色の実が現れた。

『これって苦いやつ!』
 初日に食べてしまった苦い実だ。
 プチトマトのように出来上がる姿を想像していたミサキは栗のような殻に包まれたルククに苦笑した。

『あちらには薔薇がありますよ』
 ナタリーが木の向こうを指差すとミサキはヒョコッと覗き込んだ。
 
「……え?」
 薔薇の向こうには金髪のイケメン王子レオナルド。
 そしてその隣には金髪の美女。

 スタイルが良く、赤いドレスがよく似合う美人さん。
 レオナルドが絵本の王子なら彼女は絵本のお姫様。
 どこからどう見たってお似合いだ。

 以前見せてもらった絵本の白いドレスの女性は金髪。
 あの人のことだったの?

 肩を抱き、仲が良さそうな二人。
 ミサキは思わず木の影に隠れた。
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