異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

18.林

『なんでルイス様とディー様と会話してんのよ!』
 突然マリーに突き飛ばされたミサキは何が起きたかわからずに呆然とした。

『あんたわざと礼拝堂に残ったわね』
 彼女はどうして怒っているのだろうか?

『教皇様が壁際にいるようにとおっしゃったんです』
『黙ってなさい!』
 エマをしかりつけるとマリーはミサキの手首を掴んだ。
 強引に引っ張り、裏口の方へと連れていかれる。

『出ていきなさい!』
 ドンと突き飛ばされたミサキは裏口の扉から土の上に膝をついた。

『はい、あんたの荷物』
 頭の上に振ってくるパーカーとズボン。
 これはここを出ていけってこと?
 ミサキは目を見開いた。

『そんな! 聖女様!』
 駆け寄ろうとしたエマはジャネットとアンジーに押さえられた。

 扉の前には腕を組んで見下ろすマリー。
 扉の所にはエマを押さえるジャネットとアンジー。
 その後ろにも数人いる。
 ミサキは白いワンピースからパーカーとズボンに着替えると、ワンピースを簡単に畳んでマリーに手渡した。

『聖女様……』
 涙ぐみながら着替えるミサキを見るエマ。

 このままここに居たらエマに迷惑がかかってしまう。
 ミサキはペコッとお辞儀をすると、水浴びの池の横を通り林の中へ。

 理由はわからないが、追い出されたのだけは確かだ。
 
 エマに、今までありがとうって言いたかったな。
 木の根っこがゴツゴツしていて歩きにくい林の中を、ミサキは何度も躓きながら進んだ。
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