異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
「行って参ります」
「ルイス。任せたぞ」
 聖剣を持った第二王子の出立式には国王はもちろん大臣達・貴族達・教皇・そして街の人々も多く参加し、賑やかな催しが開催された。
 
 王宮から街中を歩いて北を目指すドラゴンの討伐隊。
 そのリーダーが第二王子ルイスだ。

 王都を抜け、2つの街を通過すれば、ドラゴンがいる山へまで北へ真っ直ぐ一本道だ。
 川を堰き止めたドラゴンを退治すれば再びこの国に水が戻ってくる。
 そうすれば豊かな土地に戻り、人々が安心して暮らせる王都に戻るはずだ。

「必ずこの国に水を戻します」
 ルイスが誓いの言葉を述べると、大きな歓声が上がった。

 ドラゴンの討伐隊は全員で10名。
 少数精鋭だ。
 剣術が得意な者はもちろんだが、作戦を考える者、料理ができる者なども含まれている。
 全く戦えない者は一人もいない。

「ミサキを、聖女を同行させられなくてすまない」
「言葉が通じない娘を連れて行っても危ないだけだ」
 早く保護してやれとルイスが言うとレオナルドは切なそうに頷く。
 
 あのあと騎士に探させたが結局ミサキは見つからなかった。
 どの方向に行ったのか分からず、足跡も追えなかったからだ。

「もしどこかで見かけたら王宮へ送り返してやるよ」
「絶対無事に帰ってこい」
「当然だ」
 お互いの右手をパン! と鳴らすとどこからともなく拍手が湧き上がる。

「ディー、ルイを頼む」
「もちろんです。この命に代えてもお守りいたします」
 ルイスの補佐ディーがレオナルドに最上級の礼を行うと、討伐隊の残り8人も一斉に礼を行った。
 
 宮廷楽士の演奏が始まると盛大な拍手の中、討伐隊の騎士が歩き始める。
 多くの人に見送られながら討伐隊は王宮を出発した。
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