異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
「なんなんだ?」
 ルイスは気絶したミサキに首を傾げる。

「あの、隊長、もう大丈夫です」
「5分経ったか?」
「タオルを外してください。水で傷口を綺麗にしましょう」
 そのあと縫いますと医師免許を持つ騎士のビルが言うとルイスは頷いた。

「いや、待て。おかしいだろう」
 タオルの血は誰の血だと聞きたくなるくらい、ジョンの太腿には傷が何もない。

「夢でも見ているのか?」
 暑さで俺の頭がおかしいのか? と聞くルイス。

「俺の頭もおかしいです」
「俺もです」
 ジョンの傷を見た全員が驚く中、ルイスは意識を失った小さな聖女を見た。

「……本当に、聖女だったんだな」
 信じられないとルイスが呟く。
 
「治癒能力……」
 補佐官ディーも本当だったなんてと驚いた。
 
 聖剣が共鳴した少女。
 教会を追い出され行方不明だった聖女。
 兄レオナルドの嫁になる予定の娘。

「今日はこのままここで一泊する」
 ルイスはミサキを抱き上げるとテントの中に運んだ。

 あの林に食べられる物はない。
 4日間何も食べずに歩き続けたのだろう。
 手も顔も傷だらけだ。

 なんとなく放っておけない。
 兄のレオナルドが惹かれたのはこういうところかもしれない。


 ミサキが目覚めたのは2時間後。

「はうぁ?」
 膝の上というアリエナイ状況に固まったミサキは転がり落ちるようにルイスから離れた。
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