異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

21. 合流

 なんで抱きかかえられていたの?
 なんでこの人?
 ここどこ?

『意外に元気そうだ』
 もっと死にそうなくらい衰弱しているかと思ったと笑うルイスに、ミサキは驚いた。

 教会では怖そうで、意地悪そうで、眉間にシワを寄せていて、イケメンなのに勿体ないと思っていたが普通に笑うんだ。
 ルイスは立ち上がるとテントの入口から外へ話しかけた。

『食べ物と水をくれ。聖女の目が覚めた』
『はい、隊長』
 まずは水を受け取りミサキに差し出す。
 ミサキは目の前の小さなコップと大きなイケメンを交互に見た後、そっとコップを手に取った。

「……ありがとう」
 水は冷たいわけでもなく普通の常温の水だったが、おいしいと思ってしまった。
 喉が渇いていたせいだろうか。

「ミサキ?」
 急に呼ばれた名前に驚き、ミサキは顔を上げる。

 どうしてこの人が名前を知っているのだろう?
 教会では名乗っていないのに。

『違ったか? そんなような名前じゃなかったか?』
 首を傾げる目の前のイケメンにミサキは頷いた。
 
「ミサキ?」
 もう一度聞くとミサキが頷く。
 
「ルイス」
「りゅうす?」
「ルイス」
 自分を指差しながら名乗ってみたが、聞き取れないようだ。
 ゆっくりもう一度名乗ると、ミサキはようやく「ルイス」と言えた。

『ルイ、スープ。干し肉は今、調理中だ』
 突然入ってきたディーの声にビクッと肩が揺れるミサキを見ながらルイスはスープを受け取った。
 湯気が立ち上り、熱そうな野菜スープをミサキの前に出すと、躊躇いながらミサキは受け取る。
 スプーンの先が割れてフォークとスプーンを一つに合わせたようなスプーンを受け取ったミサキはルイスに微笑んだ。
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