異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
 翌朝、目が覚めたミサキは心臓が止まりそうなくらい驚いた。

「ご、ごめん、なさい」
 ミサキはルイスにしがみついて眠っていたのだ。
 ルイスは反対を向いたまま。
 きっと一晩中寝返りも打てなくて困っただろう。

『よく眠れたか?』
 起き上がり、自分の綺麗な金髪をクシャッとかきあげるルイス。

 お前のせいで全然眠れなかったとでも言いそうな顔だ。
 教会で初めて会った時の印象のせいかもしれないけれど、この人は少し怖い。

「おはよー」
 いきなりテントの入口を開けるディーにルイスが苦笑する。
 何にもないが、男女二人。
 何かあるかもと疑う事もしないのか。

「おはよう、ミサキ」
「おはよう、ディー」
 優しく頭を撫でた後、ディーはミサキにシャツとズボンを手渡した。

 ルイスは立ち上がると何も言わずにスッとテントから出て行く。

「OK?」
 テントの入口を閉めるディー。

 え? これを着ていいよってこと?
 ミサキは少し悩んだが有難く服を借りる事にした。

「大きい……」
 ズボンは足首がキュッとなっているので下に擦ってしまうことはないがかなり足首で布が余っている。
 ウエストが紐で良かった。
 シャツも大きいので袖を何度も折り返した。

 これはお父さんの服を借りた子供みたいに見えるかもしれない。
 せめて彼シャツくらいのサイズだったら色気もあるのだろうけど。

 パーカーとズボンを脱いだミサキはあまりの汚さに驚いた。
 背中はほぼ茶色。
 ズボンのお尻もヒドイ。

 こんなに汚かったの?
 汚いパーカーとズボンを持ってテントを出ると、あまりのブカブカにディーは笑った。
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