異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

24. イノシシ

 広い草原の間にある道をルイスに手を引かれながら進んでいく。

 一人じゃ絶対倒れていたと思う。
 最初はどうしてずっと手を掴まれているかわからなかったが、何度か転びそうになってからやっと気づいた。

 支えてくれていて、たぶん日陰を歩かせてくれている。
 身体が大きいルイスの影にいるお陰で、直射日光を避けることができているのだ。

 急にグッと力が入った手にミサキは驚いた。

 チャッと変な金属音がしたと思ったらディーとルイス以外の全員が剣を抜いている。
 そしてなぜかミサキの目はルイスの大きな手で隠されてしまった。

 聞こえるのは変な声。
 唸っているような怒った犬みたいな声だ。

 騎士達の声もするけれど、見えないから怖い!
 動物の悲鳴のような声にミサキの身体がビクッと揺れた。

『……大丈夫だ』
 片手でミサキの目を隠したまま、もう片方の手でミサキの背中を引き寄せるルイス。
 思わぬ密着にミサキは固まった。

 すぐに動物の声はなくなり、騎士達の話し声がする。
 それでもルイスの手はミサキから離れなかった。

 5分? 10分?
 どのくらい経ったのだろうか?
 ようやく離されたルイスの手。
 急に明るくなった視界にミサキの目はチカチカする。

『……肉?』
 何の動物かわからないが何かが肉になっている。
 目を隠されている間に動物が肉になったってこと?

 すごいけれど怖い。
 
 何の動物だったかは知らないでおこうと思ったのに。
 ……イノシシかー!

 見てしまった毛皮の模様に苦笑するミサキ。
 小さな牙もあり、無駄にせず全部有効活用するのだろうなと無意識に思った。
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