異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

25. 宿

 その日の夜も背中を向けたルイスと同じテントで眠り、翌日も手を掴まれて歩いた。
 次の日も、その次の日も。

 途中でまた鹿とイノシシに会ったみたいだが、視界が暗いうちに肉に変わっているので生きている姿は一度も確認していない。
 騎士達の会話はほとんどわからないが、みんな優しい。
 
 でも騎士と話しているとルイスに睨まれている気がする。
 ルイスにはきっと嫌われている。
 歩くのも遅いし予定外の荷物だよね。
 ミサキは歩きながら溜息をついた。

『疲れたか?』
「ほぅあ!」
 急に覗き込む青い眼に驚いたミサキは変な声を出した。
 色気も何もない声だ。

『ディー、休憩するぞ』
「はいはーい」
 木の下でパッと離される手。
 ミサキは木陰に小さく座り込んだ。

「街、行く」
 ディーがもうすぐ街だと教えてくれる。

 街に着いたらきっとみんなとお別れ。
 ミサキが少し寂しそうに笑うとディーは首を横に振った。

「街、寝る、行く」
「行く?」
『一緒にね』
 みんなを順番に指差し、ミサキを差した後にディーは自分を指差した。

 一緒ってこと?
 街で寝るけど、また一緒に行くよってこと?
 一緒にいていいの?

「はい、水~!」
「ありがとう、ユーイ」
 喉が渇いていたので水が嬉しい。
 ミサキはゆっくり水を喉に通した。
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