異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

26.  買い物

『こいつに服と靴。冒険者用で』
『何色が良い?』
 そんな無茶振りはやめろと思いながらもルイスはミサキに近くの服を適当に見せる。
 黒、青、赤、ピンクのシャツを見せると、ミサキは黒を指差した。

「ズボン」
 ズボンを指差すとミサキは黒いズボンを選ぶ。

『そっちも黒かよ。下着も頼む。靴は適当に履かせて本人が気に入った物を』
「ありがとうございま~す!」
 試着室に案内されたミサキは戸惑った。

 いやいや、こんなセクシー下着は無理!
 スタイルの良いセクシーお姉様じゃなければただの事故だ。

 下着も選ばせてもらい、服を着たが、ウエストがぶかぶかだった。

『あらやだ、細いわ。ちゃんと食べている?』
 ツーサイズ小さいズボンと交換し、ついでにベルトもつけるとようやくちょうどいいサイズに。

 着心地は良い。
 値段は単位がわからないけれどシャツが5000。
 5000円って思えば良いのかな?
 ズボン9000、下着が上下で6000だ。

「はい、靴」
 靴下を履き、ブーツっぽい靴を履く。
 こっちのブーツは重いのでたくさん歩くと疲れそう。
 こっちは軽いけれど足に合っていない。

 何足か履かせてもらい、ようやくミサキは靴を決めた。

『お待たせ。黒で地味だけど元が良いのね、可愛いわ。この子』
 店員の言葉に振り返ったルイスは驚いた。
 
 ディーのぶかぶかな服ではなく、ピッタリサイズの服を着たミサキ。
 
 こんなに細い身体であの長い距離を文句も言わずに歩いていたなんて。
 騎士達は少しゆっくり歩いたが、それでもこんなに筋肉がない足でついていくのは大変だっただろう。
 夜もすぐに寝てしまうはずだ。
 
『……悪かったな』
 もう少し配慮してやればよかった。
 謝罪の言葉を呟くルイスに店員は首を傾げた。
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