異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

27. ノート

『可愛いじゃん』
 可愛く仕上がったミサキにディーは微笑んだ。 
 いつもは手首を掴んでいたのに普通に手を繋いで帰って来た二人には驚いたが、特に突っ込まず気づいていないフリをする。

「ペン?」
『一番喜んだ』
 櫛より喜んだぞと苦笑するルイス。
 それは予想できなかったとディーは笑った。

「ありがとう」
 本当はたくさん買ってくれてありがとう、とても嬉しいと伝えたいのにまだ言えない。
 早く言えるようになりたいとミサキは思った。

『めっちゃ可愛い』
『マジかー』
『結婚しよう』
 宿の食堂で新しい服を着たミサキに会った騎士達は小さなミサキを取り囲んだ。

「はい、これ」
 ガイルがイノシシの牙のネックレスをミサキの首につける。
 今日の昼間、街で毛皮を売った時に牙をネックレスに加工してもらったのだ。

『魔除けのお守りだよ』
 両手を組み、お祈りのようなポーズをするジョン。

 あ、お守りってこと?

「ありがとう」
 牙を握りしめながらガイル、ジョン、クレイグにお礼を言うと、三人はめっちゃ可愛い! と悶えた。

 宿の食事は肉も野菜もいっぱいだった。
 騎士のみんなはお酒も飲んで楽しそう。
 一番お酒を飲みそうな見た目のルイスが全く飲まないのは意外だったけれど。
 ディーもお酒は飲まないみたいだ。

 部屋に戻り、ゆったりしたシャツに着替えたミサキを睡魔が襲う。

 今日はベッドで眠れて嬉しい!

「おやすみ」
『ゆっくり眠れ』
 ディーとルイスが左右から声をかけてくれる。
 久しぶりのベッドと布団の魅力には勝てず、ミサキはあっという間に眠りに落ちた。
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