異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
 ずっとルイスの事を怖い人だと思っていた。
 いつも不機嫌で、眉間にシワを寄せていて、私の事は嫌いだろうなと。
 
 でも、昨日一緒に買い物をしたときは優しくて、草原を歩いている時は危ないから気を張っていただけなんだとようやく気付いた。
 今も私がわかりそうな言葉を選んで話をしてくれている。

『オレンジ食うか?』
 朝食の時に食堂からもらってきたオレンジを見せながらルイスがミサキに尋ねた。

「まんじゅうおろんじゅ?」
『オロンジュ』
 ルイスがオレンジを持ち上げる。

 オレンジ=オロンジュ!
 ミサキはノートに『オレンジ=オロンジュ』とカタカナで書いた。

「まんじゅう?」
『マンジェ』
 食べる真似をするルイス。

 あ! 食べる!
 ミサキは『食べる=マンジェ』とノートに書き加える。
 オレンジ食べるか? とルイスは聞いたのだ。

 うんうんと頷くと、ルイスはオレンジの皮を剥き、半分ミサキにくれた。

「ありがとう」
 ミサキがお礼を言うと、綺麗な青い眼を細めて微笑むルイス。
 
 やっぱりルイスはレオナルドに似ている気がする。
 少し酸っぱいオレンジを食べながらミサキはなんとなくそう思った。
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