異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
「ありがとう?」
 うんうんと頷くマルクに頭を撫でられたミサキは嬉しそうに微笑む。 
 家庭教師マルクは優しいおじいちゃんだ。
 何度も丁寧にゆっくり言葉を教えてくれた。
 
 窓の外はもう真っ暗。
 ナタリーはワンピースを広げ、これはどうでしょうと言いたそうにミサキに見せた。
 
 清楚系ワンピース。
 正直言って可愛い。
 自分が着るのが申し訳ないくらいに。
 前ボタンのワンピースなのでこれなら自分で着られる。
 ミサキはうんうんと頷いた。

 手伝ってくれそうなナタリーを手で止め、ミサキは自分でパーカーを脱いだ。 
 貧相な身体なので見せるのも忍びないが。
 下着になるとワンピースの袖に手を通し、自分で着てみせた。
 
 ボタンも自分で留め、ズボンも脱ぐ。
 簡単に畳んでソファーに置くと、ナタリーが驚いた顔をしていた。

『どうでしょうか?』
 手を広げて自分で着られたと見せるミサキ。
 
『靴はこちらでも良いでしょうか?』
 ナタリーは困った顔をしながら靴を差し出した。

 あ、靴下とスニーカーはダメなのね。
 ソファーに座り、履き替える。

『今度こそ、どうですか?』
 くるっと回ってみせると、ナタリーは頷いた。
 
「ありがとうナタリー」
『素敵です。ミサキ様』
 前半はわからなかったが、ミサキと呼んでくれた。
 ミサキは嬉しそうに微笑んだ。
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