異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
 その顔を見たルイスは、ミサキが聞き取れてしまった事に気がつき、右手で口元を覆う。
 今までは言葉が通じないので何を言ってもミサキにはわからなかったのだ。
 そのつもりで、思わず『可愛い』と呟いてしまった。

「あ、ありがとう」
 真っ赤な顔でお礼を言うミサキに返事をすることなく、ルイスはギュッと繋いだ手を握った。

 マズい。
 兄レオナルドの想い人なのに。
 
 どんどんミサキが可愛く見えてくる。
 これは本当にマズい。

 部屋に戻ったがまだディーは帰ってきてなかった。
 
 鏡と櫛を取り出し髪を器用にアップにするミサキ。
 普段見えない首の後ろが見え、急に色っぽく見える。

「ただいま~」
 あれ? 昨日装飾品は買わなかったって言ってなかった? と首を傾げるディーにミサキは微笑んだ。
 ノートを捲り、言葉を選ぶ。

「ルイス、買う、今日」
『えっ? 喋ってる!』
 スゴイと褒めるディー。
 
「ルイス、ノート、買う。嬉しい」
 2冊目のノートも見せながらミサキが微笑むとディーはルイスをニヤニヤしながら見た。

『それで髪飾りもね~、ルイがねぇ~』
『……ディー、後で相談が』
 ちょっと困っているとルイスが目を伏せる。
 ディーは滅多に見ないルイスの姿に驚いたが、ミサキが心配するといけないので話題を変えた。

「ミサキ、可愛い」
 ミサキの首の後ろをそっと触りながらディーが褒めるとミサキは真っ赤になった。

「あれ? 可愛い、わかる?」
 真っ赤な顔のまま頷くミサキ。
 今日一日で急成長だ。

「ノート、見る、OK?」
 ディーに聞かれたミサキはノートを手渡した。
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