異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!

31. 任務

『ウソでしょ?』
『ドラゴン』
 ドラァーゴに聞こえる言葉。
 ディーはドラゴンって言っている?
 ドラゴンって倒せるの?

 ミサキは次のページを捲ると、ドラゴンと戦う男性の絵を指差した。

「ルイス?」
「そう」
『ウソでしょ? ドラゴンなんて。無理でしょ倒すの? これを? 嘘! ウソ! ドラゴンだよ? ゲームじゃないんだよ?』
 ディーは慌てて絵本を閉じて棚に戻すと、パニックになったミサキの背中にそっと触れた。

 ミサキの身体がビクッと揺れる。
 ディーは申し訳なさそうにミサキに謝った。

 伝えない方が良かったのだろうか?
 ディーがルイスの顔を見ると、ルイスも困った顔でディーを見た。

「……ミサキ」
 通路の先からルイスが手を伸ばすと、ミサキの黒い眼が揺れた。
 ルイスの手をずっと見続けたまま動かない。
 ルイスはもう一度ミサキの名を呼んだ。
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