異世界で言葉が通じないなんてハードすぎます!
「ノー?」
「うん。ノー」
「そっか」
 触った事がないので硬いか確かめたかったけれど。
 ミサキは騎士ビルから離れ、お鍋の方に戻った。

『なんで触っちゃダメなの?』
『漢方薬。男の滋養強壮』
 ビルが効果を説明するとジョンは苦笑した。

 夕飯のシカ肉は牛肉の赤身みたいだった。
 ローストビーフように焼いたシカをもらったが、弾力があって美味しい。

「おいしい」
 臭みもないし、食べやすい。
 嬉しそうに食べるミサキを騎士達はにやにや眺めた。
 
『シカも食べちゃうんだ』
 野蛮だと嫌がる貴族は多い。
 だが騎士にとって現地調達した動物は貴重な食糧だ。

「可愛いなぁ」
『理想の嫁』
 ユーイが呟くと騎士達はうんうんと頷いた。

 今日は洞窟なのでみんなと一緒。
 ミサキは盛り上がる騎士達と過ごした。

「ミサキ、寝るぞ」
『早くねぇっすか?』
 独り占めできないからって隊長ズルいと言うガイルを無視し、ルイスはミサキを少し離れた場所へ連れて行く。

「楽しいか?」
「話す、楽しい」
「そうか」
 ルイスとの会話はそれだけ。
 ミサキはあっという間にルイスにしがみついて寝てしまった。
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