甘い顔した君にはもう





「すっごい嫌な顔!あっはは」



とまぁ、早美くんにも笑われてしまうほど、らしい。



「私やっぱいいや、先戻るわね」



「なーんか、似てる」



「え?」



振り返ると、早美くんの表情は先ほどまでの可愛さは消え、顔に似つかず冷めた表情をしている。



「てか俺、名前聞いてないんだけど」



え・・・こんな自然に一人称変える人ってこの世にいる!?


ますます早美くんが分からない。



「ごめん、そうだよね。
えーと、私、大空です」



「下の名前は?」



次は可愛い顔して言う。



「あ、桜依です」



「ふーん、桜依ちゃんか」



先ほどの冷めた表情が思い出せなくなるほどの甘い可愛い顔して「ほら、選ぼ」と手招きしだす。



グラスをとり、爪でグラスを軽く叩き、音を立てながらジュースを選び出す早美くん。



「ん~~~」と悩みだす早美くんがとても可愛い。



もうこれで会話終了かと思って安堵していたのに、早美くんは急に私を見る。



「なんでしょう・・・」



「いや?」と片方の口角が上がる。




・・・・え?




「メロンソーダ?」



「そうね、メロンソーダにするわ」



平常心に話すことを心掛け、メロンジュースのボタンを押そうとする。



「待って」


「?」


「はい、こっち」



早美くんは先ほど自分でメロンソーダを注いだグラスと私の持つグラスを交換しようとする。



「いやこれは早美くんのでしょう」



慌てて私は手を引く。



「ウーロン茶のグラスからのメロンソーダはちょっとねぇ」



「あ、ああこれ気にしてくれたの?大丈夫よ、そこまで気にしない」



「いいから」



意外と強引・・・



「じゃあ・・・」と早美くんの持つグラスと交換しようと手を伸ばす。



 
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