甘い顔した君にはもう




戻るとまた、一斉にみんなが我々に注目する。




今回もまた気にすることないと思っていたのに・・・




「弥生くん、やなことされてない?」



え・・・?



先ほどから弥生くんの隣をキープしていた子が、私を睨みながら突然そう言うのだ。



その嫌なことをした原因って私のことを指して言ってる?




「どういう意味?」



弥生くんは微笑みながらその子の隣へと座る。



まるで私を庇うように、そしてその子をなだめるように。




「大空さんってなんか怖いし。
みんな思ってるよ?
いつも輪から外れて単独行動も目立つし。
それに唯一の友達の若菜さんはサボり魔って・・・」




今その話は関係ないよね・・・



私が早美くんの後を追ってしまったのが原因で、私の見た目や行動、恵奈の事は全く関係ないよね・・・?




周りの子達は黙ったままで、カラオケのテレビの音がやけに大きく聞こえる。




途中途中、騒がしい男子たちの冷やかす声が飛び交う。




「ちょっと待って、恵奈は関係ないじゃない」




ほらね、こういう事が起こるから行きたくなかった。




私の見た目を理由に、こうやって言い出す子達はよくいた。



だけど・・・



「じゃあなんで弥生くんの後を狙ったみたいに追ったの?期待してたんでしょ?」



馬鹿にしたように笑われる始末。




「帰るわね、じゃあ後はみんなで」




言い返したって仕方がない。



この空気を元に戻すには私が退散した方がいい。




「僕も帰ろ」



・・・・・はい!!??



待て待て待て、今の話聞いてた・・・?



弥生くんは「行こっ」と言う。



私に言っている・・・のよね?





 
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