甘い顔した君にはもう
秘密の共有
昨日のことを思い出す。
水溜りがかかりそうになったところを、早美くんが咄嗟にかばって助けてくれた。
助けてくれた時、スローモーションに感じ、私はその時に早美くんのカッコよさに気づいてしまったということ。
キュンと胸がときめいたこと。
昼休みのチャイムが鳴ったことで私はこの考え事から抜け出す。
後ろの席の恵奈が、私の背中をペンでつつく。
「なに?どうしたの恵奈」
「なんもなくてよかったね」
「・・・あ、ああ昨日のあの子?」
「逆にあの子が休むなんてね」
あの子、それは昨日私に嫌味を言ってきた子だ。
早美くんの前の席で、名前は見事 澄玲という。
まさか見事さんが休むとは。
なんだかいい気分はしない。
早美くんはというと、昨日と同じく女子からの人気は絶大だ。
「可愛い?ありがとぉ~!」
今日も今日とて、あざといな~~。
私は後ろを向き、早美くんを見つめるも、あざとい早美くんを見て私は呆れたように見るのをやめる。
ほんとは・・・
かっこいいのになぁ。
「勿体ないわ」
「なにが?」
「うわっ!!!」
先ほどまで後ろの席に座っていた恵奈が私の目の前に立っていたのだ。
「ねえもしかしてだけど、桜依さ~」
なにを言いだすつもりだろうか。
まさか、早美くんを陰で推していることがバレた?
二日目でもう!?
いやいや、大丈夫。
恵奈は確かに勘には強い方だが、今回は謎に自信がある。
なぜなら私の好きなタイプなど、恵奈には暴露済みだ。