甘い顔した君にはもう




「弥生ちゃん大丈夫?」

「弥生くん顔真っ赤やねぇ」

「可哀想よ・・・」



なんていう早美くんのオタクを差し置いて私が早美くんを保健室に連れて行くなど
とてつもなく緊張してしまう。



それに私も一応彼のオタクですから・・・



「た、立てるかしら」



「んん、無理」



か、可愛すぎる!!!!


体調が悪いのに、なんて罰当たりな発言をしてるんだ大空桜依!!


心の中で喝を入れ、私は早美くんの手首を掴んで肩を組ませ、腰に手を当て、立たせることに成功した。


今のこの状況、傍から見たら私が男で早美くんが女の子だ。


だが、背はやっぱり、早美くんの方が数センチ高い・・・



「歩くよ、少し頑張っ・・・」


「うーーーん・・・」



ダメだ、周りの視線もかなり痛いが、一番厳しいのは早美くんとの距離感だ。



どうしても近くなってしまう。



廊下に出ることができても早美くんの息が首元にかかって、変な汗がでてきそうで
保健室までの道のりが遠く感じる。



「早美くん、ごめんなさい。
歩きにくいわよね」



「ん?」



「っお、えっといや、何でもないわ」



本当に心臓が持たない。


早美くんの「ん?」の破壊力は言葉に表すことができないほどの衝撃だ。


語彙力が足らない。



むしろ私が熱を出してしまいそうだ。




 
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