甘い顔した君にはもう
「だから先生が来るから・・・」
困り眉が前髪の隙間から見えて、私はさらに心を傷める。
「先生が来るまでよくない?」
「呼ばないと来ないし」
「呼ばなくていいよ」
「だめよ、誰がこの状況・・・」
「なんで、だめなの」
いつもよりか声が低く、男らしい。
きっと早美くんは隠してるつもりなんかない。
可愛いもカッコいいもきっとどっちも本当の早美くん。
勝手に特別な風に捉えちゃだめよね。
「だめったらだめ。
頑固だね、怒るわよ」
「冷たいなぁ~~こんな可愛い僕を置いていくのっ?」
あざといポーズをとる早美くんに、私は途端に溜息をついてしまう。
「病人は静かにしていなさい」
そう言えば早美くんは鼻で笑うのだ。