甘い顔した君にはもう




「だけどちょっと・・・今は寝かせて・・・」



「え?ちょっと早美くんってば、ちょっと!?」



早美くんは私の膝の上に頭を乗せ、目を瞑る。



膝がとても熱い。
きっとこれは早美くんの体温の熱さだ。



そりゃそうだ。
あんなに昨日濡れて帰ったもの。
私のせいで。



そういえば、まだちゃんと謝れてないな。



私は自然と早美くんの前髪を触ってしまう。



柔らかくて細い早美くんの髪。
触れるとハイトーンの髪が揺れて輝いて見える。



白い肌、ほんのり赤い頬がより目立つ。



だめだ、私は完全に早美くんの沼にはまってしまっているようだ。



私の手が大胆に動いてしまっている。

早美くんが眠りについているのをいいことに。




「あれ、大空さんじゃない」



バッと早美くんを乱暴に膝からおろす。



「先生・・・すみません。勝手に」



誤魔化す私は相当カッコ悪い。



「いやあ、全然それはいいんだけど。
その子は?」



「あ、体調悪いみたいで。熱もあって辛そうなので」



「あっもしかしてその子、噂の転校生ね?」



先生の間でも早美くんは有名人なのだろうか。
保健室の先生が手を叩いて大げさにリアクションをとる。



「昨日から私のクラスに・・・

ああ、で、先生、早美くん眠ってしまって。
起きるまでベッドで寝かせといてください」



「うん、そのつもりよ」



「あ、それと体温は37.7でした。
よろしくお願いします」



「ええ・・・」



「冷えピタ、すみません勝手に。
使わなかったので、これは早美くんに付けといてください」



「ええ、そうね」



「では」



「ちょっと待って大空さん!」



「・・・はい?」




 
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