甘い顔した君にはもう



一息置いて、また早美くんは話し出す。



「なんかもういいやって思うようになって。
なにしたって言われるようになったらもう終わりじゃん。

逆にね、逆に俺から可愛いキャラ貫けばうまくいくんじゃね?とか思いついて・・・

ほら、本来の自分じゃない自分で誰かを傷つけても
後から修正効きやすいじゃん?

ふつーに俺、性格悪いわけよ」



「だから今・・・」



「そっ!

でも僕、結構才能あるみたいで
この通り体に染みついちゃったよっへへ」



そう言ってあざといポーズをしてみせる。



「そうなんだ・・・」



「転校するって分かったときは
めちゃくちゃ喜んだね。
いいチャンスじゃんって思ったよね~。

いや~俺ついてるな~」



「早美くん・・・」




早美くんはきっとその子のために
自分の性格とか見た目とか、本当の自分を隠そうと
違う意味で自分を変えようと努力したんだ。


強くて、カッコいいな。


そんなこと簡単にできるわけがない。


勿論どうしてもこの世の中には
変えなきゃいけないことはことだってある。

だとしても早美くんが無理して変える必要なんか
ない出来事なのに。


向けられた悪意と好意、
何をされても行動できない人は
この世に五万といるのに


一人で決めて、一人で行動している早美くんを思うと
抱きしめたくなる。



すごいね、すごいねって。





「やめてね、なんか励ましたりとか」


「え・・・」


「俺そういうの苦手だから」



励ますつもりは・・・
確かにあった。


でもそれは逆に早美くんを追い込んでしまうのではないかとも思った。


やめてねと言われて本当に励ましちゃだめだとも思った。


だけど・・・ねぇどうしてそんなに


無理した表情するの・・・?



 
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