甘い顔した君にはもう
「私もっ私も早美くんに秘密にしてほしいことある」
「え?」
「私ね・・・皆に言ってないけど実はね」
私の秘密話など早美くんにとって励ましにも何にもならないかもしれない。
だけど、励ましの言葉が嫌ならせめて・・・
秘密を二人で共有しあえば、なんとなく一人で背負わなくて済むかって。
だから・・・
目を瞑り、力を入れて、早美くんに馬鹿にされる覚悟で言う。
「私、実は全然クールじゃないのよっ!!!」
「えっ、ええ、え・・・」
あれ・・・?
反応が思ってたのと違くて、思わず目を開ける。
「待って桜依ちゃん・・・ッぷ」
大笑いする早美くん、そして手を叩く早美くん。
「あ、あれ・・・?」
「そんなの僕でも分かるよ、え~何言うかと思ったら。ハハハ」
涙が出るほど笑ってる早美くんに私は唖然としてしまう。
違う意味で馬鹿にされている・・・?
「ごめん私ったら比べ物にならない秘密ごと言ってたみたいね・・・」
「いや、全然。
桜依ちゃんからしたら秘密で隠してることなんでしょ?
まあ僕は気づいたけどねっ?残念!へへ」
「お恥ずかしい・・・」
「・・・ありがと」
さっきまで笑っていたのに、急に真顔でお礼をいうものだから反応に困る。
焦ってた末、
「私も、昨日はありがとう。
あと・・・濡らしたまま帰らせてすみませんでした」
なんて遅すぎるお礼と謝罪を済ませる。
「いやいやタイミングおかしいって」
「そ、そうかしら」
「桜依ちゃん、おもしろいね?
ずっと見てられる」
「へ!?」
フェンスに寄りかかる早美くんに
真っすぐ見つめられ、
私は照れているだろう顔を、急いで手で隠す。
放課後の帰り道
早美くんに髪は夕日に照らされ、ほのかにピンクに見えた。
私の顔はさらに赤く染まった。
「今日の話は秘密だよ、二人のね?」
早美くんの笑顔で世界を救えます・・・絶対。