甘い顔した君にはもう
体育祭




5月末、私たちの学校は体育祭の時期が近づいていた。



早美くんとの仲はあの日以来進展はない。

ただ毎朝目を合わせて「おはよう」と挨拶するくらい。



まあ、そんなものかと思いつつ、内心寂しかった。



だって二人の秘密をつくった仲だよ!?
多少は期待しちゃうってのに。



早美くんは相変わらず可愛いキャラを貫いており
周りには変わらず可愛い女の子たちに囲まれている。



見事さんも今は普通に登校していて、
教室の中はとりあえずは平和だ。



だけど私の心の中は全く平和に感じない。



なぜなら・・・



「はーーーい注目ぅ!!!!」


学級委員長の掛け声に皆が一斉に教壇に視線を送った。



「今から来月の体育祭に向けて、種目決めをしたいと思うーー!!!フゥ!!!」



体育祭・・・


私の苦手とするイベントだ。



体育の成績が悪い私にとって地獄のイベントなのだ。



「ねぇ恵奈、今年も綱引きに手挙げるわよね?」


「んぁー、多分私参加しないもん」


「そんなこと言わないで参加してちょうだいよ」


「それ桜依のためっしょ?」


「~~~ッ!!いいじゃない何でも!」


「うわ~ん、泣いちゃうわぁ」



恵奈が棒読みの時は、大抵本当に興味がない時だ。



去年の体育祭は綱引きに参加し、
うまく溶け込むことができたが
今年はどうだろうか。



この見た目で運動ができないなんてバレたら
私の学校生活は地獄行きよ。



私の学校の体育の授業は
自らがスポーツを選択できるから、
一番不人気のスポーツを選択したりして
目立つことはなかった。



けど、体育祭はそうはいかない。


みんなに注目されてしまう。



迷った結果、みんなで協力して勝ちを掴む
綱引きに目を光らせた、というわけだ。




 
< 35 / 54 >

この作品をシェア

pagetop