甘い顔した君にはもう




「はい!じゃあ次は借り物競走!
やりたい人は挙手して!」




借り物競走だなんて、誰がやりたいと思うのか。



お題が何であれ、人の力を貸してもらわなければ
成立しない競技を、私にできるわけがない。



「おーいなんだよ、あと2人いないのか〜?」



ええ、どうしてよ。
陽キャの皆さんは、こういう盛り上がる競技
積極的にやりたくなるものではないの!?

なんて勝手な偏見。



だめね、また私ったら。




「まぁ、じゃあ次!綱引き!!!」




はい!と声には出さないものの、勢いよく手を挙げることに成功した。



だが、なんだか周りの雰囲気が変だ。




「ウォー!」と盛り上がるクラスメイト。



周りを見れば、私以外に手を挙げている人が何人か確認できる。



「じゃんけんで、負け2人は借り物競走確定で!」



うそだ、今年もじゃんけんか・・・と肩を下ろす。



仕方がない。
こうなったら意地でも綱引きを勝ち取って、私の手柄にしなければならない。
なんて、もうすでに競争心のある私。





 
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