甘い顔した君にはもう




というか、なんだあれは・・・



転校初日に出来ることなのか?




「みんなと仲良くなれて僕嬉しいよっ」




早美くんが発する言葉の語尾にハートマークが見えてしまう。



学校に通う人生だけじゃなくて、アイドルの道にも歩むべきではないかと、思ってしまう。




でも、早美くんはバチバチにかっこいい男性アイドルではなくて・・・むしろ、女の子?




あれ、いや、なんで私はこんなに早美くんのこと考えているの?必要ある?



「・・・ないない」と小さく呟く。




金髪なのにも関わらず、ちゃらちゃら見えないという魔法も使えちゃう訳で。
薄い唇なんかじゃない、むしろポテっとしているのに可愛いうるおいのある唇。
睫毛をあげているわけでもないのに、ぱっちりお目目。
男の子らしい太い眉なのに、全く邪魔してない感じ。




きっと早美くんは生まれた時からそうなんだわ・・・。



いや、てか、また早美くんのこと考えてる・・・。



「我としたことが・・・」




「なに頭抱えてんのぉ?」


と、唐揚げ棒を貪りながら私を冷ややかな目で見る恵奈。



「んおっ!転校生めっちゃ人気者じゃん!」



「早美くんね、転校生っていうのやめなさいよ。
というか、なにもう買い食いしてるのよ」



「めーっちゃアイドルみたいだわねぇ」



私の言葉など届きやしない。



「そうね」



と、恵奈は私と早美くんの顔を交互に見る。



「なによ・・・」



「んあ?いや、なんか真反対だなって」



恵奈は言うと、ブフォッと笑って吹き出す。




「ちょっとお行儀悪いじゃないっ!」




「きゃっはは、怒らないで〜〜!」




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