甘い顔した君にはもう





「今日はもう安静にしてなさい」



先生が呆れた顔して言う。



「どうしてそんな腫れるまでほっといたのよ」



「いやでもまだ2時間しかたって・・・」

言いかけたのは先生がかなりお怒りの顔になったからだ。



「早美くんだっけ?
大空さん、無理しちゃう子だから
早美くん面倒見てあげてちょうだい」



「ぇあ、あ、え?」
早美くんは困惑し、言葉が出ていない。



そりゃそうだ、私も困惑している。



「あーあれよ?
怪我が治るまでの期間でってことよ」



早美くんの肩を強く叩く先生に開いた口が塞がらない。



「あ、ああはい。もちろんですよ」



先生め・・・。
早美くんをこんなにも困らせるなんて
どうかしてるわ。



それに怪我が治るまでの期間
早美くんが私の面倒?


冗談じゃない。


さっき、この先真っすぐに接することは
難しいって思ったばかりなのに。



そんなことを思っている間に
100m走がはじまる放送が流れた。



「じゃあ僕行くね。
借り物競争は任せて」



「あっ!ありがとう!!」



「ここで応援してて」

と言い、早美くんはウィンクしてみせる。



特大のファンサービスだ。




 
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