甘い顔した君にはもう




焦ってしまえば、クラスの女の子集団からのヒソヒソ話は止まらない。



「ねえ、大空さんっていっつもクールよねぇ」

「だけど焦ると可愛いよね」

「分かる、今日仲良くできるかな」

「ちょっと、今日の目的は弥生きゅんでしょ?」




地獄耳なのか、言葉はっきりと聞こえてしまう。



別に悪口ではないけれど聞きたい内容でもない。



人と多く関わること、私はどうもうまくできないからだ。



私の友達は恵奈だけで十分幸せ。



親睦会のことは諦めて、とにかくうまくやり過ごそう。



私は移動するためにもう一度椅子を引く。



「恵奈行k・・・・」


「ん?どしたの桜依」


「いや・・・?」



振り返ると同時に私は早美くんと目が合ってしまった。



「・・・」



「桜依???」



きっとこういう時、すぐ目を逸らしてしまうものだが、何故だか逸らすのを忘れてしまう。



早美くんもまた、目を逸らさずに可愛い顔をしたまま私を見つめている。



え?



え?



いや、これ、どうしたら。




 
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