初恋は甘いカフェオレの味


………え…


…今の聞き間違い、だよね?


どうしよう……


ものすごく、泣きたい。


気を抜いたら一気に我慢しているものが溢れてきそうで、私は足音を立てないように階段を引き返す。


もう人気のいなくなった空き教室に駆け込んで、私はかべにずるずるともたれた。


胸が痛くてしょうがない。


及川くんに好きな人がいるって知って、ものすごく悲しい。


声を押し殺して、必死に涙を拭う。



…どうしよう。


私、やっと気づいた。


及川くんを見てドキドキするのも、一緒にいてあんなに楽しいのも、好きな人がいるって知って、こんなに涙が出るのも、



及川くんが好きだからなんだって。




< 106 / 107 >

この作品をシェア

pagetop