初恋は苦くて甘いカフェオレの味


南校舎へ続く廊下を歩いていると、後ろから手首を掴まれた。


「…おい」


「…っ!」


聞きたいけど、聞きたくなかった声。


心臓のドキドキが腕をつたって及川くんに届いちゃいそうで。


私は恥ずかしさと複雑な心境で、どうしても振り返れなかった。


「最近俺のこと避けてんだろ」


ぎゅっと手首を握る手に、力が入る。




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