初恋は苦くて甘いカフェオレの味


無愛想で意地悪で口が悪いけど、本当はすごく優しい及川くんが、私は大好き。


今度こそ止まった涙。


私は及川くんを見上げて、笑顔いっぱいに「はい!」 と答えた。


「及川くん髪濡れたままだけど、風邪ひいちゃうよ?」


「……平気。それより俺のこと名前で呼べよ、七瀬」


腰をぎゅっと抱き止められて、耳元でそう囁かれた。


及川くんに初めて呼ばれた名前が、なんだかくすぐったい。


「で、でも今まで及川くんだったし、その…ちょっと慣れないというか恥ずかしいというか…」





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