初恋は苦くて甘いカフェオレの味


「そんなとこに突っ立ってないで早く行くぞ」


そう言ってカウンターに続く扉のドアノブに手をかけた雅くん。


そんな彼を引き止めるように、私は「雅くん!」と名前を呼んだ。


そのまま雅くんを引き寄せて、私からキスをする。


「さっきのお返し!」と、私はイタズラっぽく笑った。


雅くんは少しびっくりしたように固まったけど、すぐに表情が和らいで、小さく笑った。


私の大好きな、とびっきり優しい顔で。


「また雅くんのケーキ食べようかなー」


「…太るぞ」


「いいもん!」


私たちはいつものやりとりで、カウンターに続く扉を開けた。



大好きな君と出会わせてくれた、大好きな喫茶店。


そんな秘密の場所で実ったとびきり甘い恋を、この先もずっと君の隣で。




❤︎おわり❤︎



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