先輩と、コーヒーと
それから私は、週1回のペースで定期的にホワイト・カフェへ通うようになった。
入店すると、私はいつも決まってカウンター席に座る。
淹れたてのコーヒーの香ばしい香りを近くで感じられるし、何よりカウンターの中で琉星先輩が、コーヒーを淹れる姿を見るのが好きだから。
お店に通ううちに、ホワイト・カフェは琉星先輩の伯父さん夫婦が経営するお店だということも知った。
将来バリスタになるのが夢だという先輩は、コーヒーやラテを淹れたり、卸用のお豆を準備したり、コーヒーのことを教えてもらいながらここでアルバイトをしているんだそう。
ホワイト・カフェには、イケメンの店員さんがいると、琉星先輩を目当てにやって来る女性のお客さんもいるようだった。
バイト中の先輩は、白シャツに黒のショート丈のカフェエプロンを身につけているのだけど。
それがまたよく似合ってるから、かっこよさが倍増している。
そのうえ先輩は記憶力が良いのか、一度来店したお客さんの顔は覚えているみたいで。
『あっ、先月一度いらして下さいましたよね?』などと、お客さんに話しかけているのをよく見かける。
先輩はちょっと無愛想だけど、かっこよくて優しくて。
先輩の淹れるコーヒーや伯母さんの手作りだというシフォンケーキは、本当に美味しいから。
今度、紗梨にもここのお店を勧めてみよう。
もっとみんなに、このお店や先輩のことを知って欲しい。