先輩と、コーヒーと
他校のセーラー服を着た、黒のロングヘアのとっても可愛い女の子。
女の子からの告白はいつもバッサリと振ることで有名な先輩に、躊躇なく抱きつくなんて。
この人、一体何者!?
「理帆、腕離して。俺、いまバイト中だから」
やんわりと腕を離す先輩は、もちろん女の子とは知り合いのようだ。
『理帆』
彼女のことをそう呼んだ先輩に、なぜか胸がチクッと痛んだ。
「ごめん、ごめん。私、受験生で最近はお店にもなかなか来られてなかったから。琉星に久しぶりに会えたのが、嬉しくって」
てへっと、舌を出して謝る姿すら可愛い女の子。
そして今度は、先輩の頭をポンポンと撫でている。
頭を撫でる理帆さんに「子ども扱いすんなよ」と言いながらも、琉星先輩は歯を見せて笑っている。
学校にいるときの冷たい感じとも、お店にいるときともまた違う、かなりリラックスした様子の先輩。
もしかして、あの理帆さんが……琉星先輩の彼女と噂されてる人なの?
胸の底のほうに、もやもやとした感情が広がっていく。