先輩と、コーヒーと
「あら、理帆ちゃん。おかえりなさい」
「ただいま〜」
理帆さんは、琉星先輩の伯母さんとも『ただいま』と『おかえり』を言い合える仲なんだ。
もしかして、理帆さんはここの近所に住んでる人とか?
それとも、やっぱり理帆さんは琉星先輩とお付き合いしている彼女さん……。
「ねえ、琉星。私も手伝うよ」
そう言うと理帆さんは、黒のロングヘアをひとつに束ね、慣れた手つきで制服の上からカフェエプロンをつける。
「えっ、でも……理帆、受験生だろ? 店を手伝う暇があったら、その分少しでも勉強しろよ」
「いいの。たまには私も、勉強の息抜きに手伝いたくって。だって私、このお店が大好きだから」
理帆さんの言葉に、またもや胸を針で刺されたような痛みが走った。