先輩と、コーヒーと
久しぶりに見るバイト中の先輩の真剣な横顔に、どくんと心臓が大きく脈打つのが分かった。
やっぱり、先輩はいつ見てもかっこいい。
そして、自分は先輩のことが好きなのだと、改めて実感する。
こうしてお店に来るのは久しぶりだから、話しかけるとなると緊張するけど……。
「あっ、あの、琉星先輩……!」
私は琉星先輩に、意を決して声をかけた。
「私……先輩に、大事な話があるんですけど。ちょっといいですか?」
「あー……悪いけど俺、いまバイト中だから。終わってからでも良い?」
「そう、ですよね……」
しまった。私ったら、先輩は今バイト中だってことをすっかり忘れて。自分が先輩に話すことしか考えていなかった。
さすがに、バイトの邪魔をしちゃダメだよね。
ああ……こうと決めたら、周りが見えなくなるところ、ほんと昔からの悪いクセだ。