先輩と、コーヒーと


久しぶりに見るバイト中の先輩の真剣な横顔に、どくんと心臓が大きく脈打つのが分かった。


やっぱり、先輩はいつ見てもかっこいい。


そして、自分は先輩のことが好きなのだと、改めて実感する。


こうしてお店に来るのは久しぶりだから、話しかけるとなると緊張するけど……。


「あっ、あの、琉星先輩……!」


私は琉星先輩に、意を決して声をかけた。


「私……先輩に、大事な話があるんですけど。ちょっといいですか?」

「あー……悪いけど俺、いまバイト中だから。終わってからでも良い?」

「そう、ですよね……」


しまった。私ったら、先輩は今バイト中だってことをすっかり忘れて。自分が先輩に話すことしか考えていなかった。


さすがに、バイトの邪魔をしちゃダメだよね。


ああ……こうと決めたら、周りが見えなくなるところ、ほんと昔からの悪いクセだ。

< 22 / 32 >

この作品をシェア

pagetop