先輩と、コーヒーと
「それじゃあ、また後で出直します」
私が、お店の出入口へと向かってとぼとぼと歩きだしたとき。
「ねえ、琉星くん。今、お客さんもそんなにいないし。ここは私ひとりで大丈夫だから、柚希ちゃんと話してきたら?」
「えっ、でも……いいんですか? 先輩のこと、お借りしても……」
「ええ。柚希ちゃん、大事な話だって言ってたし……ねえ?」
伯母さんが、私に向かってパチッと片目を閉じる。
もしかして、気を利かせてくれたのかな?
「ほら、琉星くん。エプロン外して、早く行きなさい」
「ありがとう。それじゃあ、ちょっとだけ抜けさせてもらうよ」
「ありがとうございます!」
私は伯母さんに頭を下げると、琉星先輩と一緒にお店を出た。