先輩と、コーヒーと
「俺……確かにオーストラリアには行くけど。それは、冬休みの間だけだぞ?」
「え?!」
ふ、冬休みだけ!?
私は、ぽかんと口を開いて硬直してしまう。
「伯父の知り合いが、オーストラリアのメルボルンってところでカフェをやってて。一度、本場のカフェをこの目で見てみたいと思って、冬休みに行くんだよ」
「……」
「だから、俺は1週間ほどでまた日本に帰ってくる。オーストラリアに引っ越したりもしない」
思いもよらない先輩の言葉の連続に、先ほどから私は開いた口が塞がらない。
先輩がオーストラリアに行くって紗梨から聞いたけど、別に引っ越すって意味じゃなかったの!?
ま、まさか。私の早とちりだったなんて……はっ、恥ずかしい。