先輩と、コーヒーと
「前に一度、話したかもしれないけど。俺の夢はバリスタになって、伯父のようにいつか、自分の店を持つことだから。そのためには、いつかオーストラリアに修行に行きたいとは思っているけど……まだ少し先の話だ」
バリスタになるのが夢だとは聞いていたけど、いつか自分の店を持つ……か。
琉星先輩は自分が将来どうなりたいか、ちゃんと考えてるんだ。
それで、高校生の今から喫茶店でアルバイトをして、夢のために頑張ってるんだ。
「先輩は、すごいですね。今からちゃんと将来を見据えて、頑張られてて。私なんて……全然で」
私は先輩と違って、お母さんに言われるがままに将来は医者になるものなんだって思いながら、ここまで来ただけだから。
「今はただ、曽祖父から代々続く病院を継ぐために、大学の医学部を目指して勉強してるだけで……」
「アンタは……柚希は、ちゃんと頑張ってるじゃないか」
「え?」