先輩と、コーヒーと
「俺がたまに学校の図書室に行くと、いつもそこで柚希が勉強してて。俺、勉強は苦手だけど、柚希が努力してるのを見て、俺も頑張ろうって思えたんだ」
先輩……。
「俺は柚希が、学校のテストでいつも10位以内に入ってるのも見てたし。上位をキープするなんて、それなりに努力してないと、誰にでも出来ることじゃないって思うよ。柚希だって、家の病院を継ぐために今頑張ってるじゃない」
まさか、先輩が私のことを見てくれていたなんて……。
「俺は、そんな頑張り屋の柚希のことが好きだよ」
「えっ!?」
先輩、今めちゃくちゃサラッと……。
もしかして、聞き間違いとかじゃないよね?
「俺、柚希がずっと店に来てくれなくて、めちゃくちゃ寂しかったんだからな」
琉星先輩が頬を少し赤らめ、自分の髪をクシャクシャッとかき混ぜる。
「だから、また店に来てくれるか? これからは……俺の彼女として」
「……はいっ、喜んで」
「ありがとう」
先輩は優しく微笑むと、私をギュッと抱きしめてくれる。
「あの、先輩……それじゃあ、理帆さんって人は? 先輩の彼女じゃないんですか?」