先輩と、コーヒーと


「いらっしゃいませ。おひとり様ですか?」

「はっ、はい!」


私に気づいた40代くらいの女性店員さんがにこやかに声をかけてくれ、ドキッと胸が跳ねる。


「カウンターのお席なら空いてますが、よろしいでしょうか?」

「はい。大丈夫です」


店員さんに案内されたカウンターの左端の席に、私はドキドキしながら腰をおろす。


「ご注文は、お決まりですか?」

「あっ、えっと……それじゃあ、ホットコーヒーで」

「ホットコーヒーですね。お待ちください」


笑顔の店員さんが去った途端、私はひとり後悔の念に駆られる。

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