先輩と、コーヒーと
「えっ、理帆? 理帆は、俺のいとこだけど?」
えっ。い、いとこ!?
「うそ。私、てっきり理帆さんは、先輩の彼女さんなのだとばかり……」
「違うよ。理帆は、あの店を営む伯父夫婦の娘で、彼氏だっているから。あっ、噂をすれば……」
琉星先輩につられて公園の前の通りに目をやると、理帆さんがイケメンの男の人と手を繋いで歩いているのが見えた。
高校の制服姿の二人のスクールバッグには、それぞれ白と茶色の色違いのクマのキーホルダーが揺れている。
彼氏さんも理帆さんも、お互いを見つめる目が優しくて。
互いのことをとても大切に想い合っているのが、遠目からでも伝わってきた。
「そうだったんだ。ああ、良かったあ」
理帆さんが先輩のいとこだと分かって、安堵する。
幼い頃から一緒に過ごしてきた仲の良いいとこ同士なら、この間理帆さんが琉星先輩を抱きしめていたのも頷ける。
「それにしても、まさか柚希が勘違いしてたなんて。まあ、いとこ同士は結婚できるから。交際も問題なくできるわけだけど……」
そう言って、彼氏と歩いていく理帆さんをじっと見つめる先輩。