先輩と、コーヒーと
「そっ、それは……さすがに困ります!」
「ぷっ。なに焦ってんだよ。さっき言っただろ? そもそも理帆には彼氏がいるし、何より俺は……柚希のことが大好きなんだから」
先輩……。
「俺には、これからもずっと柚希だけだよ」
「わ、私が好きなのも、琉星先輩だけです!」
「……っ、お、おう」
ふいっと逸らされた先輩の横顔が、ほんのりと赤い。
「なあ。ずっと外にいたら、冷えただろ? 早く店に戻ろう。柚希に、とびきり美味いコーヒーを淹れてやるから」
「……はい! 先輩のコーヒー、飲みたいです」
これからも私はきっと、琉星先輩と先輩の淹れてくれるコーヒーの虜なんだろうな。
この先もずっと、先輩とコーヒーの一番のファンでいたい。
そんなことを思いながら私は、琉星先輩が差し出してくれた手を取り、寒空の下を歩き出した。
END.