先輩と、コーヒーと


「琉星くん、ちょっとこっち手伝ってくれるかしら?」

「はい」


さっきの女性の店員さんに呼ばれ、琉星さんがカウンターから出ていく。


このコーヒー、あの人が淹れてくれたんだ。


そう思うと、苦手なコーヒーも不思議と飲んでみたい気持ちになった。


ドキドキしながらカップに口をつけると、芳醇な香りがふわっと口に広がる。


「……美味しい」


コーヒーは苦味が少なく、とてもまろやかで。コーヒーが苦手な私でも、最後まで美味しく飲むことができた。


それはやっぱり、琉星さんがそれだけコーヒーを淹れるのが上手ってことなのかな?


『学校、お疲れ様です』


さっき、琉星さんが私にかけてくれた言葉も。


明日も学校を頑張ろうって思えて、勉強に対するモチベーションになった気がする。


お母さんに、怒られると思うと怖いけど。


ここで、元気をチャージできたから。


逃げてないで、帰ったらお母さんに小テストの答案をちゃんと見せよう。


そしてダメだった分、次に挽回できるようまた頑張ればいいんだ。


シフォンケーキも、ふわふわで美味しかったし……いつか近いうちにまた、ここに来たいな。


それで、イケメンの店員さん……琉星さんにもまた会いたい。

< 6 / 32 >

この作品をシェア

pagetop