先輩と、コーヒーと
「琉星くん、ちょっとこっち手伝ってくれるかしら?」
「はい」
さっきの女性の店員さんに呼ばれ、琉星さんがカウンターから出ていく。
このコーヒー、あの人が淹れてくれたんだ。
そう思うと、苦手なコーヒーも不思議と飲んでみたい気持ちになった。
ドキドキしながらカップに口をつけると、芳醇な香りがふわっと口に広がる。
「……美味しい」
コーヒーは苦味が少なく、とてもまろやかで。コーヒーが苦手な私でも、最後まで美味しく飲むことができた。
それはやっぱり、琉星さんがそれだけコーヒーを淹れるのが上手ってことなのかな?
『学校、お疲れ様です』
さっき、琉星さんが私にかけてくれた言葉も。
明日も学校を頑張ろうって思えて、勉強に対するモチベーションになった気がする。
お母さんに、怒られると思うと怖いけど。
ここで、元気をチャージできたから。
逃げてないで、帰ったらお母さんに小テストの答案をちゃんと見せよう。
そしてダメだった分、次に挽回できるようまた頑張ればいいんだ。
シフォンケーキも、ふわふわで美味しかったし……いつか近いうちにまた、ここに来たいな。
それで、イケメンの店員さん……琉星さんにもまた会いたい。