先輩と、コーヒーと


自分が告白したわけじゃないのに、やけにドキドキしながら待ってしまう私。


「……悪いけど、俺はアンタのこと好きじゃないから。付き合えない」


ズバッと言うと、琉星先輩は悪びれる様子もなくスタスタと歩いていく。


うわあ〜。先輩ったら、見事にバッサリ振ったなあ。


振られた女の先輩、泣いちゃってるよ……。


私は、校舎の陰から歩いていく琉星先輩の背中をじっと見つめる。


先輩、カフェではあんなに美味しいコーヒーを淹れて、初対面だったはずの私にシフォンケーキまでサービスしてくれて。


優しい人だなって思っていたのに。


あのコーヒーのお陰で私、また勉強を頑張ろうって思えたのに。


女の子からの告白を、申し訳なさそうな素振りも見せることなく、あんなストレートに断るなんて。


もしかして琉星先輩は、本当は冷たい人なのかな?

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