先輩と、コーヒーと
あのあと教室に戻った私は、クラスメイトで友達の紗梨から琉星先輩のことを聞いた。
先輩のフルネームは、白井琉星。同じ高校に通う2年生。
先輩は基本クールで無愛想だけど、イケメンだから学年を問わず女の子からモテるんだそう。
しかし、先輩は誰にもなびくことなく、先ほどみたいに告白されても、いつもバッサリ振ることで有名なんだとか。
その理由は、先輩に彼女がいるからだって噂されているけど……真相は不明。
「まあ、あたしも白井先輩から彼女がいるって、直接聞いたわけではないんだけどね」
「そっかあ。琉星先輩、彼女いないといいなぁ」
「なに? 彼女の有無を気にするなんて……もしかして柚希、白井先輩のことが気になってるの?」
紗梨に尋ねられ、私の胸が小さく跳ねる。
「ちっ、違うよ! この間たまたま寄ったカフェで、先輩に優しくしてもらっただけで……」
「へえ〜っ」
それから私は紗梨に、琉星先輩と出会ったカフェでのことを話す羽目になったのだった。