傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜
9
『はぁ…はぁ…』
早く逃げなきゃ
出口はどこ
着慣れないドレスで思うように走れない。
途中誰かにぶつかりそうになりながらも、庭園を抜けて必死に出口を探す。
あそこだ。
私は門を勢いよく通り抜けて、走った。
後ろを振り返る余裕もなく、とにかく前へ前へと足を動かす
馬車の往来のある広い道は目立つから危険だ。道から外れた草木に紛れながら、人目につかないようにとにかく走った。
ドレスは既に土埃などで汚れ、木の枝に引っ掛けたりして所々破れていた。
走りすぎて脇腹が痛い。
でも弱音を吐いていられない
こんな機会は二度と訪れない
ここまで逃げて捕まるなんて絶対に嫌だ
それなら死んだ方がましかもしれない。
『はぁ、はぁ』
いつの間にか鬱蒼と茂っていた木々もなくなり、街に辿りついた。
とうとう体力の限界がきて、速度が落ちてついには歩き出していた。
行く当てもなく路地を彷徨い歩く
暗闇の中、家の灯りが漏れ出ている。
どこからか楽しそうな笑い声も聞こえる
それはあの邸ではソフィアが決して味わうことのなかった家族の団欒だった
愛情のこもった優しい声色
『……いいな』
呼吸が整ってくると疲れがどっと押し寄せる。
もう何も考えられなかった
無心になりただただひたすら歩くいていた
『あっ』
突然誰かにぶつかり、よろめいて転倒した。
「おっと、ごめんよ。
あんた、大丈夫かい?」
見上げると中年の女性が荷物を抱えて、私を覗き込んでいた。
『だ、大丈夫です』
女性は荷物を置き、私に手を差し伸べて立ち上がらせてくれた。
『ありがとうございます』
私はお礼を伝えて立ち去ろうとした。
「ねぇちょっと」
女性に呼び止められる。
「ちょっと、あんたひどい格好じゃないか。」
『えっと…』
私は改めて自分の格好を眺めて俯く
「怪我してるじゃないか。大丈夫かい?
あんた…いいとこのお嬢さんじゃないのかい? こんな時間に一人でこんなとこいたら、家族が心配するから。心配かけたらいけないよ。」
『家族は……いません。』
「ん?」
『そんな人、誰もいません!』
家族という言葉に腹が立ち強い口調で答える。
女性は一瞬驚いた顔をして、
「そうかい…
それなら、うちに使ってない娘の服があるから、良かったらもらってくれないかい?そのままよりはましだと思うよ」
『え…?』
「あんた、亡くなったうちの娘と同じくらいに見えるし、
なんか、放っておけなくてね」
『亡くなった…?』
問いかけると、女性は顔を曇らせ空を仰ぐ
「あぁ。まぁ、ちょっと人助けでもするとおもって、
良ければこの荷物を運ぶのを、そこまで手伝っておくれよ。お礼に服を渡すということにしないかい?」
私は夢のような提案に驚いた。
悪い人には見えなかったので、他に行く当てもないし、とりあえず着いて行くことにした。
『お持ちします』
「ありがとう。」
早く逃げなきゃ
出口はどこ
着慣れないドレスで思うように走れない。
途中誰かにぶつかりそうになりながらも、庭園を抜けて必死に出口を探す。
あそこだ。
私は門を勢いよく通り抜けて、走った。
後ろを振り返る余裕もなく、とにかく前へ前へと足を動かす
馬車の往来のある広い道は目立つから危険だ。道から外れた草木に紛れながら、人目につかないようにとにかく走った。
ドレスは既に土埃などで汚れ、木の枝に引っ掛けたりして所々破れていた。
走りすぎて脇腹が痛い。
でも弱音を吐いていられない
こんな機会は二度と訪れない
ここまで逃げて捕まるなんて絶対に嫌だ
それなら死んだ方がましかもしれない。
『はぁ、はぁ』
いつの間にか鬱蒼と茂っていた木々もなくなり、街に辿りついた。
とうとう体力の限界がきて、速度が落ちてついには歩き出していた。
行く当てもなく路地を彷徨い歩く
暗闇の中、家の灯りが漏れ出ている。
どこからか楽しそうな笑い声も聞こえる
それはあの邸ではソフィアが決して味わうことのなかった家族の団欒だった
愛情のこもった優しい声色
『……いいな』
呼吸が整ってくると疲れがどっと押し寄せる。
もう何も考えられなかった
無心になりただただひたすら歩くいていた
『あっ』
突然誰かにぶつかり、よろめいて転倒した。
「おっと、ごめんよ。
あんた、大丈夫かい?」
見上げると中年の女性が荷物を抱えて、私を覗き込んでいた。
『だ、大丈夫です』
女性は荷物を置き、私に手を差し伸べて立ち上がらせてくれた。
『ありがとうございます』
私はお礼を伝えて立ち去ろうとした。
「ねぇちょっと」
女性に呼び止められる。
「ちょっと、あんたひどい格好じゃないか。」
『えっと…』
私は改めて自分の格好を眺めて俯く
「怪我してるじゃないか。大丈夫かい?
あんた…いいとこのお嬢さんじゃないのかい? こんな時間に一人でこんなとこいたら、家族が心配するから。心配かけたらいけないよ。」
『家族は……いません。』
「ん?」
『そんな人、誰もいません!』
家族という言葉に腹が立ち強い口調で答える。
女性は一瞬驚いた顔をして、
「そうかい…
それなら、うちに使ってない娘の服があるから、良かったらもらってくれないかい?そのままよりはましだと思うよ」
『え…?』
「あんた、亡くなったうちの娘と同じくらいに見えるし、
なんか、放っておけなくてね」
『亡くなった…?』
問いかけると、女性は顔を曇らせ空を仰ぐ
「あぁ。まぁ、ちょっと人助けでもするとおもって、
良ければこの荷物を運ぶのを、そこまで手伝っておくれよ。お礼に服を渡すということにしないかい?」
私は夢のような提案に驚いた。
悪い人には見えなかったので、他に行く当てもないし、とりあえず着いて行くことにした。
『お持ちします』
「ありがとう。」